ベートーヴェン 弦楽四重奏曲3番ニ長調 聴きどころ
個人的に聴きどころと思う所です。
第1楽章
冒頭の第1主題、1stヴァイオリンが優雅に奏でる旋律。
ロココ調というのか、モーツァルトぽい!と感じます。華やかな旋律。
この冒頭主題をどう演奏するかで曲全体が決まってきそうです。ピアニッシモで、でも速度はアレグロ。いろんな可能性がある指示に思えます。
続いて第2主題に入る前のところ。
ここのユニゾンは2ndヴァイオリンとヴィオラの上手さが出るところだと思います。特にスフォルツァンドの表現が大切に感じます。
最初に挙げた主題が展開部ではイ短調に転調します。
和やかな雰囲気が一転、ここからの、主題が細かくモチーフのようになりながら転調を繰り返して厳しい響きになっていくところはまさにベートーヴェン。ドラマティック。主題はモーツァルト風なのに、この展開を聴くとハイドンでもモーツァルトでもない新しい音楽になっていることがわかる気がします。音楽に意志の力を感じるというのでしょうか。美しさ以外に何か訴えかけてくるものがあります。
最後にコーダ。
ここは2ndと1stがかけあいのようになる所で本当に美しいです。こういう最後の盛り上がりでかけあいになるの、ベートーヴェンっぽい!!って思いませんか。
第2楽章はハイドン風に感じます。変ロ長調かな?穏やかさの中に品がありますね。この冒頭、地味ながらバランスが全てという、響きに神経を使いそうなところです。
第3楽章は解釈がわかれそうな曲ですね。早めのテンポで演奏するとスケルツォといってもおかしくない気がしますし、ゆっくり演奏すればメヌエットにもなりそうです。
トリオはニ短調になって厳しい響き、ベートーヴェンらしい、暗さと情熱が同居する音楽ですね。短い中に出てくるスフォルツァンドが演奏の個性を決めそうです。
第4楽章は崇高な雰囲気と情熱的な音楽が立ち代わり現れてくる緩急の付き方にベートーヴェンらしさを感じます。
この楽章では一瞬、運命動機っぽいところもあります。
そしてベートーヴェンの曲は最後これでもかこれでもかと繰り返して終わる印象なのですが、この曲ではすっと静かに消え入るように終わっていくのも面白いですね。
この曲は1stヴァイオリンが主体なので、全体的な演奏の好みを決めるのは1stヴァイオリンの上手さ、音色の好みが重要になってきそうです。
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