ベートーヴェン 弦楽四重奏曲3番ニ長調 概観
作曲について
弦楽四重奏曲3番は、ベートーヴェンが最初に作曲したと言われています。
出版する際に番号を付け直しているためこのような順番になっているようです。
初めての作曲ということもあってか、先人のモーツァルト、ハイドンの影響をかなり色濃く感じる曲で、1stヴァイオリンの華やかでかわいらしい旋律に親しみやすい雰囲気を感じます。
ニ長調
ベートーヴェンにとってニ長調というと、すぐに思いつくのは
・ヴァイオリン協奏曲 二長調
・ピアノソナタ15番 ニ長調(パストラール)
ぐらいでしょうか。交響曲やピアノ協奏曲ではニ長調の楽曲自体がなかったり、
ベートーヴェンの曲ではあまりなじみのない調です。
超有名なところをあげると第九の「歓喜の主題」がニ長調なんですが、ベートーヴェンの中では珍しい調性の曲といっていいのではないでしょうか。
他の作曲家にとってのニ長調
すぐに思いつくものを挙げてみます。
・ハイドン 弦楽四重奏67番「ひばり」
・ハイドン 交響曲104番「ロンドン」
・モーツァルト 交響曲38番「プラハ」
・モーツァルト フィガロの結婚 序曲
・モーツァルト 弦楽四重奏20番「ホフマイスター」
・モーツァルト 弦楽四重奏21番「プロシア王セット1番」
などなど。
他の有名どころだと
・パッヘルベル カノン
・ヘンデル「水上の音楽」
・バッハ ブランデンブルク協奏曲5番
辺りがすぐに思い浮かびます。
どちらかというとハイドンやモーツァルト、バロックの曲で馴染み深い調性という印象です。
華やかで明るく、祝祭的な曲想の曲が多いですね。
この辺りの曲と比べてみるのも面白そうです。
ベートーヴェンの同時期の作品、その時代
この時期のベートーヴェンは、この弦楽四重奏曲3番を含めた6番までの6曲を作っています。
同じころ、交響曲では1番、ピアノ協奏曲では2番と1番、ピアノソナタは7~11番を作曲。
室内楽ではヴァイオリンソナタの1~4番を作曲している頃にあたります。
いくつかのピアノソナタやチェロソナタ、ピアノトリオなどで華々しくデビューしたベートーヴェンが、いよいよ本格的に作曲に乗りだす、そんな時期になるのでしょうか。
この頃、ベートーヴェンは29歳から30歳になろうとしています。
もしかしたら年齢的にも節目、みたいな思いがあったのかもしれません。
この時期、すでにモーツァルトは死去、ハイドンがザロモンセットの作曲を終えて、前年にはシューベルトが生まれています。こうして今になってみると、時代が古典派からロマン派に変わろうとしているうねりの中にいるようです。
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